宇川農産の営農について

『循環型農業』で育てる生命力あふれるお米

宇川農産のある富山県小矢部市は、富山県の西部、砺波平野に位置し、水田面積は3,550haとほとんどが水稲を中心とした稲作地帯です。農家人口は11,000人と、小矢部市の人口35,000人の約3割を占め、農業粗収益の5割強を稲作が占めています。その他、3割弱が養鶏、1割を園芸作物が占めています。

飼料用米から始まる『循環型農業』

循環型農業から生まれる生命力あふれるお米

平成20年から始まった飼料用米作付は、米作りの方向性をより明確にすることとなりました。以前は、焼却鶏糞を150kg/10a散布していましたが、平成20年度以降は土着微生物を生きたまま田んぼに700kg/10a散布しています。
一般的な農家は、化学肥料を30~40kg/10a投入し約560㎏/10aのお米を収獲します。この様な農業を10年以上続けています。つまり、毎年500㎏/10a程の地力物質を搾取する略奪農法ではないでしょうか?そこで、必ず田んぼに地力が蓄積する農業を目指しています。一般的な化学肥料には、チッソ(N)・リン酸(P)カリ(K)のみがブレンドされ、この化学肥料のみで稲を栽培します。しかし、人間が炭水化物・タンパク質・脂質のみで健康に生活する事ができなのと同様に、植物も様々な栄養素がなければ健康に育つことが出来ないのではないでしょうか?

また、田んぼに微生物が沢山生まれる農業も目指しています。微生物資材で補うのでは無く、この土地に根付いた土着菌が自然に増える土づくりを行っています。食物連鎖の底辺は微生物ではないでしょうか?近年の効率化・生産性を求め殺菌剤・化学肥料による農業は、田んぼの微生物が生存できない環境を作っています。食物連鎖の底辺の微生物が減少する農業は、いずれ頂点にいる人間に多大な影響を与えるのではないでしょうか?

循環型農業から生まれる生命

生命力あふれる田んぼに生まれ変わる

微生物が増え、様々な生き物が田んぼに戻ってきました。農薬や環境変化に敏感な生き物が豊かに命をはぐくむ田んぼは、田んぼ自体が安心で安全なのではないでしょうか?

《田んぼに戻ってきた生き物たち》
どじょう、イモリ・ヤモリ、タニシ、カワニナ、ホタル、メダカ、ヤゴ、ゲンゴロウなど

生命との共存を目指す農業へ

循環境負荷の少ない農業への転換

安心で安全な田んぼを作ることは、そこで育つお米は同じように安心で安全だと思います。そこで、田んぼへの農薬散布は必要最低限に抑えています。一般的な農家さんは出穂後の農薬散布は殺虫剤+殺菌剤を1回と殺虫剤を1回の計2回の農薬散布を行っています。当社は、選択制の高い(カメムシのみが死滅する)殺虫剤を1回のみ散布しています。しかし、これにより集荷するお米に虫食い米が混入するのでは本末転倒です。
そこで、大型の色彩選別機を導入することで、「田んぼに農薬散布を徹底に行い害虫を死滅する」という考えから『田んぼで虫食いをさせないのでは無く、収穫後に虫食い米を除去する』という考え方に変わりました。農薬散布をしないことも検討中ですが、近隣の農家さんの田んぼで虫食い被害が発生したのは当社が農薬散布をしないからだというご指摘をされないために散布を行っています。

ただし、農薬にかわる自然防虫エキス(EM菌・食酢・焼酎・ブートジョロキア・ドクダミ・にんにく・ハーブの混合物)を散布する実証実験も行っています。今後、近隣農家の状況に合わせて農薬使用を抑えていきます。
堆肥散布はすべての田んぼに行っています。除草剤散布も必要最低限に抑え、草刈・抜き取り作業など環境負荷を減らし、生命との共存を目指す農業を取り組んでいます。

循環型農業を地域ぐるみの取り組みへ

地域全体で取組み更なるレベルアップ

飼料用米から始まった循環型農業は、県からも認められ表彰を受けることができました。また、市長と若手農業者の懇談会が定期的に行われ、若手農業者が目指す農業のサポートをしていただいております。これからも安心・安全は当たり前で美味しいお米つくりを目指していきます。